彼は私の中の少女を犯し尽くした He Fucked The Girl Out Of Me

itch.io及びSteamで公開されているゲーム、『彼は私の中の少女を犯し尽くした He Fucked The Girl Out Of Me』(HFTGOOM)を日本語化したので紹介します。このページ上でもプレイ可能です:HFTGOOM_JP.html

ストアページ:
HFTGOOM: itch.io, Steam, エロゲと饗(リンク先成人向け), 作者公式ページ

価格:無料(投銭方式)

内容に関する注意:作者の方により成人指定されています。細かい注意はゲーム内で表示されますが、本作ではトランス女性として非合法なセックスワークに従事した際の経験が扱われています。

ゲームについて

HFTGOOMでは、トランス女性として非合法なセックスワークに従事した際の経験やそのスティグマ化、そしてそのようなトラウマをどのようにして語るか、といった問題が扱われています。
形式的にはインタラクティブなビジュアルノベルというふうになっていて、プレイヤーは語り手の話を読みつつ、ときにキャラクターを操作します。ゲームはゲームボーイ互換形式で作られていて、実機でも動作します?
ゲームを始めると語り手はまず、自らの経験を語ることの困難から話を始めます。抽象化された断片的な記憶がゆっくりと具体的な記述へと移行し、そしてまた断片化していくさまは、語り手のたどった思考をたどっていくように感じさせます。
そのようにして語られるのは、セックスワークに従事した際の経験です。トランス女性である語り手は、ホルモン治療にかかる費用が捻出できず困っていたときに、知人のトランス女性からの手引きを受けて、いわゆるパパ活的なセックスワークを始めます。
物語の中核をなしているのはそこでのトラウマ的な体験です。この経験以降、語り手は社会生活や人間関係において、それまでとは大きく異なった認知の枠組みから逃れられなくなります。そのトラウマは語り得ないものとして残り続け、語り手は内面的な恥の中にとらわれ続けます。
語り手にとって、トラウマ的経験のもっとも重大な点は、まさにその語り得なさにあります。恥の感覚を捨て、トラウマを克服するためにはその経験を語ることが必要なのに、トラウマは断片的で、あまりに多面的で、種々の前提を共有していない他人に理解可能な形で伝えるのは不可能に思えてしまうのです。HFTGOOMは、その語り得ない経験がいかにしてゲームとなっていったかという、その過程自体を伝えるものでもあります。 プレイ時間は1時間以内、itch.ioや作者の方のホームページ、およびこのサイトではブラウザ上でプレイ可能です。内容に関する注意には留意の上、ぜひ触れてみてください(ちなみに、このゲームはほとんどの場面でBGMや効果音は鳴らないのですが、1箇所だけ音が鳴ります。個人的にここの演出がとても印象に残っているので、ぜひ音の聞ける状態でプレイしてみてください。)。

参考リンクなど

Automatonによる紹介記事:https://automaton-media.com/articles/newsjp/20230828-261923/
4Gamerの「2023,個人的クィアゲーム大賞」記事。近藤銀河さんが本作を選出しています:https://www.4gamer.net/games/761/G076106/20231218039/
インディー通信によるインタビュー記事:https://indietsushin.net/posts/2023-05-21-Taylor-McCue-Fuglekongerige-HFTGOOM-jp